− Boeing747SR −


↑在りし日のJA8152


Boeing747SRは-100型をベースに日本の国内線専用に開発されたジャンボ機です。
SRとは"Short Range"(短距離)の略で、その名のとおり航続距離が3,000km弱と
短くなっています。その他の主な特徴は以下のとおりです。

最大離陸重量:最大離陸重量を引き下げてあるため、着陸料金が安い。
       航続距離が短いのは最大離陸重量が小さく、燃料を大量に積む余裕が
       ないためで、燃料タンクの容量は-100型と同様である。

ギア:-200型と同じ強化型。ブレーキ冷却ファンを装備し、頻繁な離着陸に対応。

タイヤ:ギアは-200型と同じものだが、タイヤは-200型のよりも強度の弱いものが
    使われている。

機体構造:頻繁な離着陸に耐えられるように機体各部の構造を強化。

耐用限度:通常の747の耐用限度は飛行時間6万2000時間、飛行回数2万4000回
     程度。SRの耐用限度は各部の強化により、飛行時間4万2000時間、飛行
     回数5万2000回程度としている。総飛行時間は短くなったが、1回ごと
     の飛行時間が短い日本の国内線には適している。



− 最後まで残ったSR、JA8157 −

最後まで残った ANAの747SR(JALには747-300SRもある)はJA8157です。他
のSRと同様に国内線専用機材として1982年に導入されました。 導入から2年後の
1984年には大幅な改修を受け、短・中距離の国際線機材として ホノルルや香港、
グアム線に活躍の場を広げました。
この国際線仕様のJA8157にはオリジナルのSRとは異なる以下の特徴があります。

タイトル:通常のSRは国内線専用のため、「全日空」のみの表記。(上の写真参照)
     しかし、JA8157には「全日空」の表記の他に「All Nippon Airways」の
     英文タイトルが入る。(下の写真参照)
     同じく国際線にも就航したJA8136・JA8156にも英文タイトルが入って
     いた。

エンジン:CF6-45A2エンジンから、より推力の大きいCF6-50E2エンジンに変更。
     ちなみにJA8156も同じくCF6-50E2エンジンを装備。

キャビン:国際線機材同様のキャビンレイアウトに変更。それにともない、ギャレー
     の大型化、ラバトリー(化粧室)の増設、オーバーヘッドストウェージ
     (荷物入)の大型化、クラス分けのパーティション追加などが行われた。

その他にも最大離陸重量の引き上げなど、オリジナルのB747SRとは異なる点が多く
ありました。なお、JA8157は最大離陸重量の引き上げにより、航続距離が他のSRよ
りも長く、ヨーロッパから日本までのノンストップ飛行が可能です。




− 羽田〜鹿児島〜羽田、ラストフライト −

2006年3月10日、鹿児島発羽田行を最後に1機のジャンボ機が退役しました。
当日は雨の降るあいにくの天気でしたが、このジャンボ機の勇姿を写真におさめる
べく羽田空港に向かいました。



↑出発準備中のJA8157。ノーズには花束と"ありがとう!SR Thank you!!"の文字


↑羽田発鹿児島行のプッシュバック


↑オリジナルのSRが装備していたエンジンよりも推力の大きい、CF6-50E2エンジン




↑たくさんのファンに見送られて滑走路へ向かう


↑予定よりも少し遅れて離陸







〜 羽田を離陸しておよそ4時間後 〜


↑ほぼ定刻通り鹿児島から戻ってきたJA8157。
 そのまま展望デッキからは死角となるスポットへ。
 たくさんのファンがもう一度近くで見れると待っていたのに、残念でした(涙)


27年間、お疲れさま・・・
そしてさようなら、ANA B747SR!


特別企画! ANA B747SR写真集