2011年3月26日、鹿児島〜羽田便を最後に引退が決まっていた
JALのAirbus A300-600R型機(AB6)。
引退を2週間後に控えた3月11日、東日本大震災が発生しました。
地震と津波による被害で道路や鉄道といった陸路による輸送手段が途絶え、
被災地への人員、物資輸送は空路に委ねられました。
ところが東北地方の各空港に就航している機材では小さすぎて輸送力に欠けていました。
そこで、白羽の矢が立ったのが退役が進むA300でした。
B767-300と同等サイズでありがなら、輸送力で勝るA300は東北地方の復興に貢献しました。
そして5月末、復興を支えてきたA300は役目を終えました。
引退記念イベントは中止され、本当に静かに引退しました。
ジャンボジェット機のような華やかさは無かったものの、
首都圏と地方空港と結ぶ路線で活躍し、多くの人に愛された機体でした。
AIRBUS A300B4-622R
↑JA8564(2011/01/18 羽田空港)
AIRBUS A300-600RはA300型(A300B2/B4型)の後継機として開発された。
初飛行は1988年。
燃料タンクの増設と機体の軽量化をおこない、航続距離と最大離陸重量を増加させたモデル。
グラスコクピットを採用し、2名乗務が可能になった。
また、エンジンの性能や信頼性が向上したことから、ETOPS-180も取得している。
GE社製エンジン搭載モデルはA300-605R、P&W社製エンジン搭載モデルはA300-622Rと呼ばれる。
A300シリーズは航空機用コンテナで最も一般的なLD-3コンテナを並列で積載できる。
1991年に日本エアシステム(JAS)が導入を開始。
2002年にJALとJASが経営統合してからは22機を運行してきた。
(最後の1機JA016DはJASが発注し、合併後の2002年11月に導入)
JAL AIRBUS A300B4-622Rスペック表(B767比較)
| AIRBUS A300-600R | BOEING767-300 |
種 類 | ワイドボディ民間旅客機 | セミワイドボディ民間旅客機 |
全 長 | 54.1m | 54.9m |
全 幅 | 44.8m | 47.6m |
全 高 | 16.5m | 15.8m |
巡航速度 | 848km/h | 862km/h |
航続距離 | 3,890km | 3,280km |
最大離陸重量 | 172.0t | 133.8t |
エンジン | Pratt & Whitney PW4158 | Pratt & Whitney JT9D- 7R4D General Electric CF6-80C2B4F |
エンジン推力 | 26,332kg×2 | 21,800kg×2 |
胴体断面直径 | 5.64m | 5.03m |
座席数 | 290席 | 261席 |
初導入 | 1991年(JAS時代) | 1986年 |
レジ |
JA8375、JA8376、JA8377、 JA8527、JA8529、JA8558
JA8559、JA8561、JA8562、 JA8563、JA8564、JA8565
JA8566、JA8573、JA8574、 JA8657、JA8659、JA011D
JA012D、JA014D、JA015D、 JA016D
|
|
※JA016DはJAL統合後に納入されたため、レインボーカラーにはなっていない。
ちなみにJA016DはA300シリーズの最終号機である。
ラストフライト
| ラストシップ | 運航日 | 便名 | 出発地 | 到着地 | 出発時間 | 到着時間 |
国内線 | JA016D | 2011/05/31 | JL1208 | 青森 | 東京(羽田) | 17:30 | 18:45 |
2011年5月31日、JL1208便(青森ー羽田線)がラストフライトだったが、
所用があって撮影できなかったため、青森へ向かうJL1207便を撮影した。
↑15:44エアボーン
↑RWY34Rから離陸
↑ギアアップして力強く上昇
↑右旋回して北へと向かう
JAL A300-600R 乗り納め特集
ありがとう空の女王!JAL A300-600R写真集