2014年3月31日、ANAのBoeing747-400型機が退役しました。
ANAは1979年にB747SR-100型機を導入し、最盛期には39機のB747型機を運航していました。
機体の大きさから"ジャンボジェット"の愛称で親しまれ、日本の高度経済成長を支えました。
導入から35年に渡ってANAのフラッグシップとして活躍したB747の特集です。
ここではANAが導入した最終型-400を取り上げます。



Boeing747-400


↑JA8095(2006/09/20 成田空港)


Boeing747-400は747クラシック型の後継機として開発されました。
1988年に初飛行し、ANAでは1990年から運行してきました。
当時の最先端の技術の詰まったこの機体はハイテク・ジャンボと呼ばれます。
主な特徴は以下のとおりです。

コクピット: クラシック型のアナログ計器からグラス・コックピットとなった。
これにより-400からは2人乗務が可能となった。
フェアリング: 空気抵抗を減らすために、主翼取り付け部にフェアリングを装備している。
ウイングレット: 主翼の先端にウイングレットと呼ばれる小さな翼を装備している。
この翼で翼端渦を減少させることで空気抵抗を減らし、燃費を向上させることができる。
主翼: 主翼は左右それぞれ1.83mずつ延長されている。
主翼延長とウイングレットの装備により、クラシック型よりも全幅が約5m増えている。
燃料タンク: 主翼や水平尾翼内の燃料タンク増設により航続距離を延長している。
機体素材: 機体を軽量化するために新素材を採用。これにより燃費が向上している。
エンジン: エンジンは3社から選択可能となった。ANAの-400、-400DはGEエンジンを装備。
 ・ゼネラル・エレクトリック(CF6-80C2)
 ・ロールスロイス(RB211-524G/H)
 ・プラット&ホイットニー(PW4000)





Boeing747-400D


↑JA8965(2011/12/04 羽田空港)


Boeing747-400Dは日本の国内仕様機として開発されました。
Dは国内(Domestic)の略です。
国際線機材の-400と基本的な部分は同じですが、短距離用ならではの特徴もあります。
-400との違いは以下の通りです。

ウイングレット: 国内線仕様の-400Dではウイングレットは装備されていない。
装備されない理由は下の2点である。
 ・短距離では装備してもあまり燃費向上どの効果が得られない。
 ・ウイングレット装備により全幅が増すとエプロンや誘導路で使用制限が出てしまう。
機体構造: 頻繁な離着陸に耐えられるように、機体各部の構造を強化。
また、アッパーデッキは-400よりも多くの座席を配置する関係で、床面が強化されている。
ギア: ギアは-400と同じもので強化はされていない。
頻繁な離着陸に対応するため、ブレーキ冷却ファンを装備している。
キャビン: ギャレーやラバトリー(化粧室)を少なくし、座席を追加。
窓: 座席の増加に伴い、アッパーデッキのポートサイド(左舷側)の窓が2つ追加されている。


その他にも最大離陸重量の引き下げ、後縁フラップ取り付け部の強化など-400とは
異なる点がある。





ANA Boeing747-400比較表

 Boeing747-400 Boeing747-400D
 全 長 70.7m 70.7m
 全 幅 64.4m 59.6m
 全 高 19.4m 19.4m
 巡航速度 910km/h 910km/h
 航続距離 12,370km 3,830km
 最大離陸重量  395t 272t
 エンジン GE CF6-80C2B1F×4 GE CF6-80C2B1F×4
 エンジン推力 26,310kg×4 26,310kg×4
 座席数 287〜338席 569席
 初導入 1990年 1992年
 レジ JA8094、JA8095、JA8096、JA8097、JA8098 
 JA8958、JA8962、JA401A、JA402A、JA403A
 JA404A、JA405A
 JA8099、JA8955、JA8956、JA8957、JA8959 
 JA8960、JA8961、JA8963、JA8964、JA8965
 JA8966




ラストフライト

ラストシップ運航日便名出発地到着地出発時間到着時間
国内線JA8961(国内線仕様機)2014/03/31NH126那覇羽田12:3515:00
国際線(定期便)JA8958(国際線仕様機)2011/01/03NH206パリ成田
国際線(チャーター便)JA8958(国際線仕様機)2011/03/21NH1987グアム成田